【セルフインタビュー】あさはかな夢みし(前編)

自分の作品をセルフインタビューでご紹介します。

あさはかな夢みし(全3巻)

時は1000年前。来る日も来る日も書物に溺れ、妄想に励む腐女子の夢子。そんな彼女のもとにとつじょ現れたのは、貴族女性を結婚させるスキルを持つ「婚活系舎人」小犬丸。果たして夢子は妄想を捨ててリアルの男性に興味を持つことができるのか?

ーーこちらは2014年から2017年に描かれた作品ですね。どうして平安ものを?


ええと、デビューからずっと江古田ちゃんを10年描きまして……なんかこう、4コマに激しく疲れてしまったんです。

ーー4コマは消耗するって言いますよね。


瀧波:はい、毎月絞りきった雑巾みたいになっていて、それで10年なので。次は全然違うもの描きたいな〜って。江古田ちゃんとは違うキャラで、現代女性の生態みたいな話じゃなくて、自分が興味を持って描けるものってなんだろうって、そこから考えていったんです。

ーーもともと平安時代がお好きだったんですか?


瀧波:好きです……と言っても、程度としてはガッツリではなく、ふわっと好きというか。子供の頃に紫式部の伝記まんがを暗記するくらいに繰り返し読んでいて。この本です。

ーー少女漫画風ですね。内容はどんな感じですか?


瀧波:子供用の伝記ではあるのですが、読み応えはすごくあります。紫式部の一生と、源氏物語の最初のあたりが漫画になっているんですが、文化についても詳しく書かれていて。天皇に嫁いだら中宮、女御、更衣…とランクによって呼び名が変わるとか。後宮の女官は廊下に仕切りを立てて部屋にするとか。そういう情報から、この時代の女の人って大変そうだなって感じたりしていました。

ーーあさはかな夢みしの主人公・夢子が「腐女子」であるという設定は、どこから来たのですか?

あられもない夢子の妄想。


瀧波:それはですね……最初は腐女子設定じゃなかったし、そもそも平安が舞台ではなく、平安から現代にタイムスリップするカルチャーショックものとして話を考えてたんです。

ーー平安の姫が現代の東京で騒動を繰り広げる的な。


瀧波:まさに、そんな感じで。でもネーム描いても、姫が全然動かないんですよ。

ーー動かない?


瀧波:はい、東京のワンルームに住む設定で考えてたのですが、とにかく部屋から出ない。出る理由が思いつかない。

ーー確かに、髪とか着物とか重そうですしね。


瀧波:それで困ってたら、当時の担当さんが、タイムスリップする必要ないのでは?とアドバイスをくれて、じゃあ平安の婚活ものがいいかなって。

小犬丸と夢子の出会いのシーン。


ーーで、腐女子設定はどこから…?


瀧波:それも担当さんの意見ですね。平安時代とはいえ、普通の女子の婚活ものだとやっぱり江古田ちゃんっぽさが出てしまうので、真逆の感じはどうかと。

ーー部屋から出ない腐女子の婚活。


瀧波:はい、そうしたら一気に想像が膨らむようになって。

ーー趣味か恋愛か、ということですね。現代にも通じるテーマですよね。


瀧波:はい、でも夢子の婚活、最初に想像してたより全然進まないんですけどね!

ーー夢子、手ごわすぎますよね…。では次回は、より深く内容について伺っていきます。


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