【雑記】「クリスマスいらない」の気持ち


久しぶりに街に出てみたら、クリスマス度がとても高まっている。

地下街や喫茶店のBGMはことごとくクリスマスソングだし、あちらこちらにツリーやサンタの装飾があふれている。人出も多い。

デパートのエスカレーターに乗った時、ふと「ああ、いらないな」と思う。クリスマスいらない。

若い頃からそうだった。浮かれていく12月の街を見ると気分が落ち込んだ。たいてい、いっしょに過ごせるような恋人はいなかった。東京でクリスマスに女ひとり、楽しいことなんてありはしない。そう思って、私はいつも密やかにふて腐れていた。

今は37歳既婚、7歳の子持ち。クリスマスは夫と子供と3人で過ごす。なのに、やっぱり12月になると「クリスマスいらない」ってふと思う自分がいる。

たぶん私は、いつもと同じ状態が一番落ち着くのだ。目の前でいきなり巨大な風船が膨らんでいくような、コントロール不能の盛り上がりは私の心をざわざわさせる。たとえそれが世間的には楽しいイベントだとしても、日常のリズムを壊すという点では大きな事件や天災に近い。

若い頃は、心のざわざわと淋しさの区別がつかなくて、「クリスマスが苦手なのは、自分にはいっしょに過ごせる彼氏がいなくて淋しいからだ」と勘違いしていたのだ。いや、多少はその手の淋しさもあったんだろうけど、クリスマスが近づいてくる今時期に強く感じるこのやるせないような気持ちは、今も昔もまるで変わっていない。

とはいえ、変わったところもある。昔はクリスマスイルミネーションを見ても「光ってんな」くらいにしか思ってなかったけど、今は心が慰められるようなあたたかい気持ちになる。この変化の理由は自分でもわからないけど、ざっくりと「年をとったせい」ということにしている。単純に、楽しみが増えてよかった。

24日の夜は家族でケンタッキーとか食べて、ちょっとだけ浮かれて過ごそうと思う。「一応、やったぞ」という気持ちにもなれるし、子供も喜ぶし。喧騒の届かないところで自分たちが盛り上がりたいぶんだけ盛り上がる、それでいいし、それでいいと思えるようになったからこの頃はだいぶ仕合わせだ。
(ニッカのおじさん、サンタより好きかもしれない。)

Takinami Yukari Official Site

瀧波ユカリ公式サイト

0コメント

  • 1000 / 1000